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――前作は駆け抜けた'90年代の後、7年ぶりのオリジナル・アルバムとなり、そして今作も3年という期間が空き久々のリリースにはなりますが、前作と今作では同じ久々でも気持ちの面では全く違ったのではないかと思うのですが。
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| 柚木: |
まあ、もうキャリアとして1回転2回転しているんで、気持ちの面では楽なもんだったんだけれど。今回「やろう」と思ったのも、漠然と…体内時計みたいなもんで始めたから、モチベーションとしてもすごくシンプルで。具体的に言うと、とにかくもうアッパーでハッピーなものが出来ればいいやっていう。そんぐらいの気持ちでしたね。
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――'00年リリースの『マロル・ザ・ハードウェイ』、'04年リリースの『New Paradigm』は、ほぼ柚木さんが曲を手掛けて、柚木さん色が強かった作品だったかと思うのですが、今作はお二方で曲を持ち寄り、交互にプロデュースされた曲が収録されたアルバムとなりました。
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| 柚木: |
前回はもうどっちかっていうと俺主導で、'90年代に自分が出来なかったことをしたいっていう気持ちの個人的な落とし前だったところもあって。で、今回はまた始動するにあたって…アルバム作った後のツアーやスタッフ・ワークとかも含めて、ミーティングみたいなものをやってみて。その時にキーワードとして、別にシンプルな音楽をやるってわけじゃないんだけど、いわゆる自分たちのいいところは、"よくわかんないけど、アッパーなもの"をやっていたんじゃないかって。それを今の力でどれぐらい出来るか? ってことになったんだよね。
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――今回は今までで一番、やりたいことを自由に表現出来たんじゃないかと思ったのですが。
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| 柚木: |
そうですね。まあ、その都度やりたいことは自由に表現出来ていたんですけど、今回は一番気負いなくやれた。あとは"今やらねば"っていうのもちょっとあったしね。それはなんかこう、スポーツ選手じゃないけども、発想の体力っていうものはあって、今回はまだ自分たちで手応えがあったから「やれる!」っていうのはあった。
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――個々のプロデュース曲が交互に入る流れになりましたが、曲順や選曲はスムーズに決まりましたか?
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| 柚木: |
あの交互に入る流れは最初からそうしようって話だったわけでもなく、意識してそうしたわけじゃなくって。出来てみてそういう風な流れになっただけかな。でも非常にスムーズに流れは決まった。まぁそこはあんまりね、もう喧々囂々とするポイントでももう無いのかな、と思って。色んなことを含めて…。もちろん、アルバム元素ってあるけど、今って聴き方も変わってきているでしょ。だから、割と一曲一曲単位で勝負した感じかな。
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――今回はインストが少なかったですよね。歌詞はナチュラルに書けましたか?
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| 柚木: |
歌詞を書くって作業自体があんまりナチュラルじゃないもんだからね…でもそういうのって考えなくても、生活環境や制作環境に自然にグリッドするんだろうね。そこまですごく意識はしてなかったけど、単曲単曲の歌にも力の入った、インストは無いアルバムになったかなと。
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――「Sweet 16」「Contortion(Sing)」の2曲はジャズ・テイストの強い曲で、特に「Contortion(Sing)」はリズムが複雑で、これって柚木さんがすごいやりたいことだったのかなと感じました。
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| 柚木: |
そうですね。リズムに関してはちょっとチャレンジしたいなと。結局はまあエイト・ビートなんだけれど、「Contortion(Sing)」に関しては若いドラマーにやってもらって。最初はもっとシンプルなエイト・ビートの、ちょっと変調な曲だったんだけれど、やっていくうちにああなって。でも、元の方もそれはそれで気に入っていて。それはまたちょっと再録したいなと。曲って初期段階からどんどん良くしようとしていって、そこで仕上がった中でベストのものを入れてはいるんだけれど。でも振り返った時に改めて自分で自分の作品が解るっていうか…未だに自分で自分の作品を解るまでに10年ぐらい掛かったりとか(笑)。意図を聞かれても、インタビューで上手く答えられないこととか、全然あるわけで。「この曲の目的はなんですか?」と聞かれたって「わかんない」って言っちゃうこととか(笑)。そんなのわかるもんじゃないからね。でも、そういうアウト・テイクも機会があれば…結構ね、数が一杯あるわけで。別テイクも、未発表曲も残してあるから。そういうのをね…死後に出るようにとっといてある(笑)。
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――死後ですか(笑)。でも今の時代、MySpaceもそうですが、そういう楽曲を発表し易い場所や機会というのは増えましたよね。
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| 柚木: |
そうだね。でも、例えば昔は水なんかみんな水道水をガブガブ飲んでいたけど、今そんな人そう居ないでしょ。お金出して買うもんじゃん。逆に音楽っていうのは、今までお金出して買うものだったけど、それが下手したらなくなりつつあるわけじゃん。そういう状況も踏まえると、楽曲の発表の仕方っていうのは今後考えていかなきゃなと思っている。
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――そんな中、今回もインディー・レーベルからのリリースとなりました。
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| 柚木: |
Trafficには有能なスタッフが揃っていますからね(笑)。まあ日本のアーティストは僕らが初めてだったってことで、初モノに弱いんだよね(笑)。色んなことをひっくるめた上で、これがベストだったんじゃないかと。まあ、出し方考えなきゃいけないと言いつつも、僕らはずっと"CD"っていう1枚のパッケージされたものとして作ってきたから…2枚組で出してみたりとかね。今回もなるべく、購買意欲をそそるようなパッケージにしたくて。真っ白いケースにしたのもそう、シンプルの中にアート・ワークにもこだわりたくて。(本盤を開き、)このザラザラした紙にもこだわりを持って(笑)。まあ、その構図がもし根底から崩れた時に自分たちはどうするかっていうのはまだわかんないけれど、やっぱりそれに対処していかなきゃいけないと思っている。心がポキッと折れちゃうかもしんないけど(笑)。
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――EL-MALOとしては改めてメジャー・デビュー15周年になるわけですが、今回の作品で知ることになる若いリスナーも多いと思います。
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| 柚木: |
そういう風に聴かれるって意識はなかったけど、初めて知った人でも興味があれば遡って聴かれれば嬉しいなとは思う。僕らがそういう風にしたようにね。でも、そういう聴き方をされるミュージシャンになってきたってことだよね(笑)。そういう役割になってきたかと思うと、感慨深いものはあるよね。
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| インタビュー・文/伊藤昌利 |