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――まず、FOOGとして活動を始めようとしたきっかけを教えてください。
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| FOOG: |
音楽そのものがあればいいというか、誰がどういう名義でやっていようが本来関係ないはずではないかと思ったんですね。音はどういうふうに人に聴こえるかって言うことの方が大事なので、より匿名的で、音楽そのものに注意して聴いて欲しくて始めたプロジェクトです。それがテック・ハウスな方だったのは、歌モノだと詞の内容や歌い手の気持ちを気にすると思うんですが、ダンス・ミュージックの世界はフロアでどういう風に音が鳴って、お客さんがどう反応するかが全てだと思うので、それを機能的に作るとこういう音になったという感じです。
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――前作から1年に満たない間隔でのアルバム・リリースですよね。
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| FOOG: |
えっと、たくさん作りたいんです(笑)。海外のダンス・ミュージックのアーティストはシングル単位でたくさん出しますが、日本だと12インチを作ること自体が難しい。そうなるとアルバム単位のリリースになりますが、それをたくさん出すのも難しいですよね。でもFOOGとしてはどんどん出していきたいと思ってます。今のヨーロッパのアンダーグラウンドのダンス・ミュージック・シーンはテックがキーワードだと思うんですが、その点で日本は完全に出遅れてると感じています。すごく面白い音楽なのでもっと日本からも出していきたいと思っていて、自分としてはたくさんリリースすることではっきりものを言っていきたいですね。
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――制作する姿勢で前作からの変化はありましたか?
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| FOOG: |
前作は自分に深く入り込んでいくような感じだったんですけど、今回はもうちょっとそれが外に向いている感じです。クラブって大勢いるけど踊ってる時は1人ずつじゃないですか。前作が1人ずつの宇宙だったのに対し、今回は1人ずつの宇宙が点となって繋がっている状態です。聴く人それぞれが点で、クラブはそれが繋がった“宇宙”になっているという意味が、タイトルの『dots and spaces』にも込められています。
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――宇宙というテーマに基づいたストーリー性が感じられるのですが、どのようなストーリーを表現されたかったのでしょうか。
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| FOOG: |
ストーリーではなくイメージですね。例えばここからどんどん上に上がっていくと地球がだんだん小さくなって点になりますよね。もっと遠くになるといろんな星があって固まって動いてるように見えて、それ自体が生きているみたいだし、さらにもっと上がったらそのかたまりが有機的に交じり合って動いてるように見えるかもしれない。そういうマクロなイメージと、逆にミクロで見ていくと、例えばこの指先の細胞がどれだけ細かいところで解析していけるかというと、それこそ無限だと思うんです。身体の中も無限だし、外から見ても無限で、結局ミクロもマクロも一緒なんだというイメージです。
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――自分の音をどのように捉えて欲しいと思いますか?
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| FOOG: |
捉えて欲しいというよりは、薬みたいに効き目のあるものだといいなと思っています。インストの場合、音に具体的に意味があるかというと、実はわからないですよね。キックが“ドンッ”なったらグッと響くような、動物的なもので。クラブがいいなと思っているのは、そういう理屈抜きのものが大きいと思っています。響くものがあって理由を探したりしますけど、ダンス・ミュージックに関しては、踊りたくなるとか、気持ち良くなるとか、どう響くかが重要であまり理由を探す必要が無いんです。
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――「quantum dots」はそういう意味で特にそれに徹しているように聴こえました。
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| FOOG: |
そうですね。“使ってない脳を使いましょう”的なものはあると思います。そういう要素って古い音楽の方があると思うんですよ。例えばアフリカン・ミュージックのパーカッションって完全に祝祭の音楽で、あれの反復が高揚感をもたらしたり、神と交信するための音楽だったりするわけです。それって多分音楽によって普段閉じている身体のスイッチをオープンにするんでしょうね。音楽を聴いて何かが開くという感じです。何かってなんなんだって感じですけどね(笑)。
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――「nowhere」は、タイトルとは裏腹に有機的なシンセフレーズに意外性を感じたのですが、この言葉をどのように解釈されたのでしょうか?
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| FOOG: |
そうですね…手塚治虫さんの漫画で「火の鳥」の未来編というのがあるんですが、そこで地球が滅亡するんですけど、1人だけ火の鳥に選ばれて生き残る人がいるんですね。その人は何億年も生き続けて最後は体が朽ち果てて無になってしまうんですが、意識と存在だけは残って、その状態で地球が新しく生まれ変わっていくのを見るんです。それは存在自体が場所に依存しているのものではなくて、存在そのものなんです。設定すれば国や地名や住所がつきますけど、“本来はどこもどこでもない”というイメージですね。禅問答みたいな話ですけど(笑)。
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――1つの作品の中に様々な側面が見られますが、制作にあたりジャンルを意識されたことはありますか?
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| FOOG: |
特定のジャンルを追及するというよりは、グッとくる音楽を追求しているという感じです。アルバム全部ミニマルでもいいと思うんですけど、それでは自分が満足しないんでしょうね。先程のアルバムのイメージの流れの話だと、例えば火星近辺にずっといる1時間を表現すると同じ曲調がずっと続くミニマルなアルバムになるかもしれませんが、このアルバムはそのイメージが移動しているのでヴァリエーションがついたのではないかと思います。ミクロとマクロを移動してるのでいろんな物が見えてくるんですね。
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――3/27のYELLOWでのリリース・パーティーでは、どのようなDJプレイをされる予定ですか?
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| FOOG: |
基本的にFOOGのトラックを中心にかけようと思っています。もちろん家で聴くのもいいと思うんですけど、クラブで鳴ってる状態が本来の機能を発揮する完成形だと思っているので。なので是非聴きに来て欲しいですね。
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| インタビュー・文/稲野辺昌功 |