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――デビュー5周年おめでとうございます!
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| 木村カエラ: |
ありがとうございます!
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――デビューしてからこの5年間で、置かれている環境や楽曲制作の上でいろいろなことが変わったかと思いますが、振り返ってみて自分自身の中での変化とかはありましたか?
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| 木村カエラ: |
そうですね、19歳の時のデビューした頃は、根拠のない自信や好奇心とか、大人に対しての不満、大人になっていく過程での不安だったり、いろんな部分で自分を分かって欲しいっていう感情が多かった気がします。だから詞がすごく内を向いているというか、自分の怒りや気持ちを吐き出して主張することが形になっていることが多かったんですけど、デビューしてからは武道館やいろいろな場でファンの方と触れ合う時間がすごく増えたって言うのが自分の中で大きくて。自分自身で歌っていく意味だとか存在価値を考えることがこの5年間すごく多かったので、内を向いているというよりは外を向いて人のために何かが出来ればっていうように大きく変化してきたっていう部分はあります。
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――ライヴでファンの顔を直接見て感じた反応がいろいろと自分の中に吸収されていくことで、自分の内向きの感情に寄っていた歌詞が外に向いたものになったんですね。
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| 木村カエラ: |
そうですね。自分のことだけに向いて歌詞を書いているとつまんなくなってくるというか、やっぱり元気のない人がいればその人を元気付けたいと思うし。それが歌だけじゃなくても私自体がその人に対して元気を与えられるような存在であることが、少しでも人に何か出来る意味のある仕事なんじゃないかなって考え始めましたね。アルバムは、自分の気持ちは置いといて皆が共感・想像しやすいっていうことに気をつけて詞を書きました。今までは“今”っていう時間がすごく大切なものだと思っていて。“今”っていう時間は今の今も過ぎていってしまうじゃないですか。“今”っていう時間を一生懸命過ごしていれば、未来にも絶対いいことが起こるって思いながら、一日一日を過ごしていて。でも今回アルバムを作っている時には、“今”というよりは“未来”に目が向いているというか。今までは“今”があってこその“未来”があるっていう風に詞を書いてきたけど、今は“未来”のために“今”をどうするかみたいな。似てるんだけど自分の中でそれがすごく大きな変化で。未来を決め付けるような詞があんまり好きじゃなかったんですけど、全曲に共通して「これからがより良くなるために」とか「これからは真っ白な世界だから、楽しくペンキを塗るように自分の生活がどんどんカラフルになっていったらいいな」とかそういうポジティブなイメージでアルバム自体が出来てますね。
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――なるほど。今回のアルバムは、歌詞もメロディもすごくポップっていう曲があれば、切ない曲もあったりと、すごいヴァラエティ豊かな作品だなと思いました。どんなコンセプトで作ったアルバムなのでしょうか?
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| 木村カエラ: |
実は、今回初めてアルバムのコンセプトがなかったんです。出来上がってからタイトルもつけたくらいで。自分自身があまりにも人に伝えたいっていう気持ちが大きすぎて、詞を書いている時に自分が何を言いたいのか分からなくなっちゃったんですよ。言葉はいっぱい出てくるし詞は書けるんだけど、なんでその詞を書いたのか全然分かんなかったって言うか。外を向いている部分がいっぱいありすぎて、自分探しをしながら歌詞を書いていったところがあって。私自身も「5周年を迎えてその後どうなっていくんだろう」とか自分のモードも“これから”に向いていったという部分がすごくあると思うんですけど。だから全曲に共通して「未来はどうなっていくんだろう」っていうのが入っているんです。
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――7曲目の「HOCUS POCUS」がアルバム・タイトルになっていますが、それはこの曲が聴いてくれる人にも一番伝えたいメッセージであると?
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| 木村カエラ: |
「あんな自分になりたいな」とか「こんな自分になりたいな」とか未来の不安って誰もが抱えているものだって思っていて、「HOCUS POCUS」っていう歌詞を書いた時に、この曲が一番アルバムに近いなって思ったんです。生まれ変わったり傷ついたり幸せだなって感じたり、でもこれから先のことを不安に感じることがあったり。全ては自分自身に掛かっていて、傷つく気持ちも悩む気持ちもすごく大切なことで自分がよりよくなるためのひとつの方法として悩んだりするから辛い時があっても大丈夫だって自分自身に言い聞かせるような曲っていうのが「HOCUS POCUS」で、だからその曲しかタイトルに当てはまらなかったんです。今までは生音でレコーディングしていたんですけど、「HOCUS POCUS」とか今回打ち込みでクラムボンのミトさんがつくってくれて。歌がどんな内容であれ後から音を変えてガラリと雰囲気を変えてしまうということはあまりないんですね。「HOCUS POCUS」は元々ミトさんが作ってくださったものに「とおりゃんせ」とかちょっと変わった言葉をつけてもっていったので、ミトさんが歌詞に合わせて音をがらりと変えたんですよ。三味線入れたりドラムのキーを変えて周りを全部崩すことが出来るっていう打ち込みならではの作業は今回はじめてやったので、詞に合わせて曲のイメージを変えたり歩み寄りながら音楽を作れるっていうのは楽しいなって思える瞬間でもありました。
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――出来た歌詞に曲が引っ張られて、新しく変わっていった感じですね。じっくり何度も聴いていくとどんどん表情が変わっていきそうですね。
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| 木村カエラ: |
そうそう! 「HOCUS POCUS」は最後に行けば行くほど音が重なっていって、だんだんと歌詞だけでなく音自体も色を変えて変化していくっていう。それが「HOCUS POCUS」の魅力でもあり、アルバムのタイトルになった決定的なところでもあるというか。時が過ぎれば人も変わってその波に合わせて浮き沈みもするし、そういう人間的な変化や私が言いたかったことが自然と音楽でも表されていて、「音楽が生きているみたいだな」って。
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――アルバムの中で思い入れのある曲、気に入っている曲を教えてください。
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| 木村カエラ: |
今回詞の書き方を変えてみようと思ってそれを心がけながら書いた初めてのアルバムなんです。本当に私の世界だけの詞はいくらでも書けるしすごく楽しいんだけど、それじゃあ人に伝えたいことがあっても伝えられないなって思い始めた自分がいて。「どこ」っていう曲を出すまでは「心がどこに向かうんだろう」っていうことをテーマにしてずっと曲を書き続けていたんですけど、例えば今まで私が書いてきた何十曲を一冊の本にまとめるとしたら、「どこ」っていう曲があとがきみたいになってしまうくらい私の今まで書いてきた全ての説明がつくっていうまとめに入った曲だったんですよ。「どこ」のように分かりやすく、皆に伝えやすい言葉で書いた歌っていうのは、やっぱり心に届くものがあるんだろうなっていうのが歌ってみて感じた部分があったし、だから皆が想像しやすくて、経験しているようなことで自然に感じていることっていうのをすごく今回のアルバムに言葉として入れたかったというか。「どこ」というシングルを出したからこそ、このアルバムが出来たんじゃないかっていう部分もある気がしていて。私にとって「どこ」はこのアルバムを作るにあたってすごく刺激を与えてくれた曲ですね。
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――今までのアルバムは確かに夢の中の世界というかそれこそ妄想の世界のような独特の世界が描かれていましたが、今作ではよりリアルで素直に心が感じたことが表れているなと思います。今までやってこなかったことに対してどういったことを心がけて取り組んでいったんですか?
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| 木村カエラ: |
一番は妄想の世界に入らないようにしました! 妄想を日常的にするのが大好きで(笑)お風呂に浸かりながら「もしこのお風呂のお湯が突然ものすごい速さで竜巻になったら、お風呂の栓の中に入れるのかな」とか(笑)自分で渦巻き作って楽しんだりしてる! そういうことばっかり考えてるから、本当にそういう詞を書くのが一番自然体なの。だから一回曲を聴いて「これはアフリカでキリンが走ってる音だ!」とか思うと、ぶわーって書けちゃうのね、簡単に。でもそれをしないようにしてたから、本当に悩みすぎて大変だったな。あとは、日常生活でふと思うことをすごい探してた。自分の気持ちにふと気付く時ってあるじゃないですか。「もしかしてあの人のこと好きかも」とか。その“ふと”っていうのを探すのを心がけてたんですけど、なかなか見つからなくて本当にイライラしてしまいました(笑)。
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――今回のアルバムを聴いてくれる人やイベント・ツアーに来てくれる人にメッセージをお願いします!
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| 木村カエラ: |
ライヴは本当に楽しみにしていてね! 私も久しぶりのツアーだからすごくウキウキしてるし、5周年ということである意味“初心に戻ろう”っていう気持ちで皆に伝えることを第一として、応援してくれる皆が一番楽しんでくれるように何もかも作り上げていきたいってすごく思ってるので、それがうまく伝わればいいなって思ってる。それからライヴで皆を元気にできるように一つずつやっていくので、これからもよろしくお願いします!
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| インタビュー・文/山田 美央 |