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――'06年はシングルが2枚出て、11月のSHIBUYA-AX公演ではアルバムに収録されている楽曲も披露していましたよね。アルバムの制作はいつ頃から始まっていたのですか?
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| 海北大輔(g&vo): |
去年の日比谷野音が終わって、梅雨頃ですかね。ちょうど野音の前のツアーの時には、僕がベースからギター&ヴォーカルに変わることやサポートを入れることを決めていたから、それを想定してどういう曲を書くかっていうのを考えながらやっていたのが、ちょうど去年の夏前でした。
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――昨年はバンドとして色々と考えることも多かったと思うのですが、制作はスムーズにいきましたか?
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| 海北: |
僕が歌を作るっていうところでは、今までにないくらい考えることは多かったと思うんですけど、いざ、アレンジという時にみんなに曲を持っていく時は、そんなに迷わずに臨めたような気はしますね。
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| 大岡源一郎(ds): |
曲を持ってきてもらって、みんなで考えるという感じだったので、そこまでは悩むことはなかったですね。
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――今回はサポートの方も含めた5人で作り上げていった感じですね。
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| 海北: |
そうですね。機軸になる僕の発言だったり、歌だったりがブレなくなってきた分、みんなが理解してくれるようになったし、曲のピントが合うようになった気がするんですよ。僕がどう思ってこういう曲にしたんだってことは特には言わないんだけど、曲に対して僕が強く想わないと、みんながついてこないと思うし。その意識とか覚悟は決まったような気がしますね。
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――根底になる歌を作るという部分ではどんなことを考えたのでしょうか?
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| 海北: |
どういうことを歌えばいいのかとか、何をテーマにすればいいかっていうのはすごく考えた1年だったんですね。身近なことだったり、自分の気持ちを吐露するような歌にどこかで限界を感じていて。どんなに考えても100%は伝わらないんですよ。それは言葉の限界だと思う。だから、今回、言葉と想いをいかに近づけた状態で人に聴いてもらえる作品にできるかっていうのをすごく意識しましたね。例えば、英語で曲を書くバンドは、意図的に英語で書くと思うんですよ。今回、はっきり言えるのは僕もそれと同じ気持ちでより伝わるため、より想いを乗せるために、意図的に日本語を使っているんだなっていう実感を持ちながら作りましたね。
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――メロディも歌詞もすごく開けたイメージで、古き良き時代のフォーク・ソング的なメロディに耳なじみの良い日本語詞がピッタリとはまっていますよね。
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| 海北: |
あの頃って無理なく日本語で歌えてる曲が多いはずなんですよね。今の日本の歌ってどこかで無理しているような気がするし。聴いても分からないし、伝わってこない。“歌”って想いがあって初めて“歌”になるわけだから。訴えることだったり、強く願うことっていうのが根底にないとぬるくなってしまうような気がして。今までの活動を否定するつもりはないけれど、その温度っていうのをちょっとほったらかしにしていたかなと。目の前にいる人、フェイス・トゥ・フェイスを意識しているがあまりに、ツールになっていた言葉とちゃんと向き合えていなかったというか。だから、今、LOST IN TIMEが歌おうとしていることはこういうことなんだっていうのを、よりシンプルに、よりダイレクトに届く言葉を選んで、聴いてもらうのが一番じゃないかなと思ったんです。
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――今回、こういう風に想いを強く伝えたいという気持ちになったのはなぜなんでしょう。
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| 海北: |
全体を見渡す目っていうのが自分の中についてきたんですかね。自分が良くなるためには周りが良くならなければならないし、周りを良くすることが自分も良くなることだっていうのを、リアルに感じたんですよ。周りを考えるのってすごく面倒くさいことじゃないですか。でも、面倒くさいこと=面白いことだと思うんですよ。そういうもの一つ一つに僕自身も見て見ぬふりをするのはもう限界に達したんですね。俺自身もそんな人間になりそうになってたから、余計に腹が立って。そうじゃない歌を歌いたいっていうアルバムになったんですね。
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――まさにこのアルバムで勝負しようという感じですね。
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| 海北: |
このアルバム“で”、というのもそうですし、このアルバム“から”という感じですね。本当の意味での勝負を始めていこうという。馴れ合いとか色々経験もしてきたけれども、もうそういうことじゃないなと。
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――では、この曲が出来たから、次に繋がるような曲ができたっていうキーになる曲ってありましたか?
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| 海北: |
全曲がリンクし合ってるから、何とも言えないんですけど、やっぱり最初のきっかけは、「まだ故郷へは帰れない」「旅立ち前夜」「26」とかかな。この3曲が、自分の中ではバンド全体を見渡した時にキーになった曲ですね。野音が終わって、さて新しくLOST IN TIMEとしてどういう動きをしていこうかっていう一番最初のタイミングで、周りのことを色々と考えさせられる出来事があって、色んなことを知った以上、ガキの頃みたいにもう無責任ではいられないんだなってことを「まだ故郷へは帰れない」で書いたんですよね。それを書いて、さぁ、その次だって言うときに1曲目の「旅立ち前夜」と再会したんですよ。僕が高校生の頃に書いた歌で。昔、組んでたバンドの曲だったんですよね。たまたま、地元の先輩のレコーディングを手伝いに行った時に昔のメンバーと再会して、その時に「俺たちとやってた曲歌わないの?」って普通に聞かれたんですよ。自分自身も昔からずっと大事にしておいた楽曲だったので、「歌ってくれた方が嬉しいよ」って言ってくれたから、じゃあ、歌ってみようかなと思って、源ちゃん始め、会社の人に聴かせたんです。そしたら、「すげー、いい曲じゃん。なんで今まで黙ってたんだよ」って言われて(笑)。18歳の頃に書いた曲を今歌ったら、その当時の自分に励まされた気がしたんですよ。いろんなことが自分自身の背中を押してくれました。そして、その当時の想いが今の自分に導いてくれてるんだって感じた時に、また曲が書けるようになったんですよね。それで、また曲を作ろうって思った時に、僕が温めてたネタがあって、それをリハーサル中にセッションしながら「こんな感じの曲を作りたいんですよ」って相談したら、サポートの人たちのアイデアがどんどん膨らんできて、あっという間に固まったよね?
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| 大岡: |
どういう風に作ったとか覚えてないくらい、自然に出来上がって。
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| 海北: |
セッションでここまで曲が膨らむんだって気付いた時に、今のこの5人編成のメンバーがすごく好きになって、「この人たちととことんやりたい!」って思ったんですよ。それで今も曲を書いていて。曲をいっぱい書けばアルバムも出せるし、みんなにも聴いてもらえるし、LOST IN TIMEが好きな人のところにも会いにも行けるんですよね。だから、こういうことかっていうのを「26」のセッションの時に再認識させてもらえたんです。
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――基本に立ち返ったという感じですね。
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| 海北: |
そう、基本に立ち返ったら今までと見える景色も違ったんですよね。今まで、アルバム3枚出して、もがいてもがいて必死に色んなところをぐるぐる廻って、それでも見える景色がいつも一緒のように思うようになりました。それが、今回はいざそういう気持ちでスタートラインに戻ってきたら、すごく視界が広がったんですよ。それってバンド・マジックだと思うんです。そういう魔法を見せてくれたメンバーにはやっぱり歌を返すことが一番だなって思う。だから今、すごくバンドとして、メンバーは2人っていうアンバランスかもしれないけど、バンド全体でLOST IN TIMEって考えた時にすごく今いい状況なんですね。メンバーが2人で他はサポートで、全然バンドじゃないって言う人もいると思うけど、個々が確立しているからできるスタンスでもあると思うんです。
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――過去のLOST IN TIMEを否定するわけじゃないって先ほどおっしゃっていましたが、そういう時代があったからこそ、今、そういう風に感じることができるんですよね。
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| 海北: |
そうですね。だから、突然この景色を見た人に俺の感動を味わうことはできないと思うし、LOST IN TIMEの今までを知ってたからこそ、これからのアルバムを好きになってもらえると思うし。ただ、リスナーに言えることは新しい人にどんどん聴いてもらいたい。とにかく、先入観だけで判断してほしくないですね。スタンダードなロックを変化球一切なしで鳴らすバンドがしばらくいなかったように思うから、こういうど真ん中なバンドもいるんだぜっていうふうに気付いてもらえるアルバムだと思う。もしかしたら次のアルバムで一球くらいカーブを投げるかもしれないけど、バンドとしての精神性はこれからも変えずに行きたいですね。
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――「告白」という曲はまさに、今言ったような海北さんの気持ちを表した楽曲ですよね。
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| 海北: |
そう、あの曲だけは100%僕の気持ちですね。他の曲はもっと伝えたい言葉だったり、想いだったりを意図的に日本語で書くってことでしっかり考えて書いたんだけど、「告白」だけはそういう意味だと今までのLOST IN TIMEを好きな人に向けての歌でもあるし、身近の小さな世界の大切さだと思うんですよ。それが、分かったからこそ俺はもっと大きな世界に飛び込んでいきたいと思ったし、そういう意味でもついて来てねっていう歌なんですよね。
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――先日、このアルバムの試聴会をリスナーに向けて行なっていましたが、リスナーと直面するっていうのはバンドとして覚悟や自信がないとできないと思うんですよ。だから、今回は本当により自信もついて臨んだアルバムなんだなと思って。
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| 海北: |
自信がなきゃやらないですからね。自信をひけらかすのがかっこ悪いなとか、力を持ってる人が全力投球するのってどうなんだろうって、変な意識はあったんだけど、どんなに強かろうが弱かろうが、やっぱり毎日全力疾走した方が体にもいいんですよ。今まで以上に人が見てようが見てまいが俺は全力でロックを鳴らしていくだけなのかなって思います。LOST IN TIMEって名乗っているのは、やっぱり横に源ちゃんがいるからで、源ちゃんが俺の歌う歌を一番最初に気に入ってくれる人だから。この関係は大事にしていきたいし、一番最初からやってる人ですからね。2人いれば、間違いなくLOST IN TIMEですよ。バンドとかユニットとかいろんな言い方をする人がいると思うけど、俺はロック・シンガーで、源ちゃんはロック・ドラマー、2人がいればLOST IN TIME。それでいいじゃないって。
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| インタビュー・文/阿部英理子 |