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――まずは、バンドの結成から教えてください。
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| テーム(vo&g): |
元々、メンバーとは14歳の頃から知り合いで、一緒にバンドをやったりしていたんだ。それから、本格的に活動を始めようと思って'97年に結成したよ。
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――'97年結成ということは今年で10周年ですね。
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| テーム: |
本当だ! 全然気付かなかったよ。教えてくれてありがとう(笑)。結成してから作ったデモテープが、フィンランドの全国ネットのラジオでパワープレイされたんだよ。それを聴きつけたレコード会社から色々と声がかかって、'98年にレコード会社と契約をしたんだ。
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――結成当初はどんなバンドを目指していましたか?
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| テーム: |
最初はU2みたいなバンドを目指していたな。だから当時、僕はボノだったんだよ(笑)。あれから時間も経って、今はかなり違うサウンドだけどね。徐々に自分達なりのスタイルや音を見つけられるようになったんだ。きちんとメロディがあって、感情を投影した音楽を作ることがクラッシュの核になっているよ。
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――北欧音楽のイメージというと、ポップ・ミュージックとメタルという漠然としたイメージがあるのですが、フィンランドでは、今どんな音楽が流行っているのですか?
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| テーム: |
今、言ってもらった通りだよ。ポップ・ミュージックとヘビメタだね。僕らはもちろんポップ側だよ(笑)。でも今、ヘビメタ・シーンはすごい栄えているよね。フィンランドではヘビメタ・バンドと同じステージに立つことはないけど、海外でやるときはお互い力を合わせてフィンランドの音楽シーンを盛り上げていくという意味でも一緒にライヴをやったりするんだ。普段味わえない経験だよね。
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――逆にテームが思う日本のイメージは?
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| テーム: |
日本の人はすごく礼儀正しいと思うよ。東京には大勢の人がいて大都市だから圧倒される部分もあるし、近未来的なイメージがある。渋谷に行ったけど、古い建物が一つもないよね。次回来る時は京都とか古い日本の建物も見てみたいな。フィンランドで聞いた話なんだけど、日本人とフィンランド人って少し似ているところがあるみたいなんだ。正直なところとか、頑固なところとか、仕事熱心なところとか。みんな黙って仕事をするタイプだよね。
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――確かにそうですね。仕事もそうだし、あとはライヴも静かに聴いている人が多いかもしれません。でも、決して盛り上がっていないわけではないから気にしないでくださいね!
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| テーム: |
なるほど、聞いといて良かったよ。「僕たちのこと嫌いなんだ・・・」って思わなくてもいいんだね(笑)。でも、フィンランドの人もライヴ中は固まってる人が多いんだ。盛り上がるまでに時間がかかるんだよ。そういうところは日本と似ているのかもしれないね。だから、自分達の力を110%くらい出さないとノッてくれないのかもしれない。
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――日本デビュー・アルバム『Pony Ride』についてですが、聴いていて新しさと懐かしさ両方を感じました。
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| テーム: |
懐かしいと思うのは、僕たちが70年代〜80年代の音楽をよく聴いていたから、その影響が出ているんだと思う。で、面白いのは“新しさ”についてなんだけど、“新しい”って最近ないと思うんだよね。新しいものって、つまり古いものを色々と組み合わせたものだからね。そういう意味で、それは“新しい”と言えるのかどうかよく考えるんだ。でも、“新しい”って思えるから不思議だよね。
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――クラッシュというバンド自体が、シーンのどこにも属さない感じがしていて、そういう部分も“新しい”と思いました。
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| テーム: |
そう言ってもらえてすごく嬉しいよ。自分達が目標としていたこと達成できたって気がする。今流行っているシーン、例えばスーツを着てインディ・ロックを鳴らしているようなバンドと同じカテゴリに入れられるわけじゃないから良かったなと思う。やっぱり、今のトレンドを追うと、その時期はいいけど流行が終わった時に自分たちの存在はなくなってしまうのと同じだからね。クラッシュの音楽的特徴は、様々な音楽のスタイルを自分達なりに取り入れているというところで、アルバム毎に音が違うんだ。だから、一つの決まったカテゴリには入れないんだよね。
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――アルバム単位でも音が違うし、曲単位でも異なるアプローチでバラエティに富んでいますよね。
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| テーム: |
意識して違ったタイプの曲をアルバムに入れたいなと思っているよ。僕たちが音楽の旅をするように、聴いてくれる人たちも一緒にその音楽の旅を楽しんでもらいたいんだ。一緒にポニーに乗ってね(笑)。ずっと同じテンションでアルバムを聴くわけじゃないから、色んなタイプの曲をいれてメリハリをつけたいと思ったんだ。キレイな曲もあるし、ファンキーな曲もあるし、ディスコっぽくて聴いててダンスしたいなって思う曲もあるし、そういうのが全部1枚に収まったアルバムなんだよ。お寿司屋さんに行って、毎日トロだと飽きるでしょ? どうせだったら色んなものを食べたいもんね。
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――(笑)。個人的には「Lauren」がお気に入りなのですが、この曲はフランス語で歌ってますよね?
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| テーム: |
昔、学生の頃にフランス語の授業をとっていたんだよ。そのクラスにすごく綺麗な女の子がいて、僕は密かにその子に想いを寄せていたんだ。この曲はその人に対する歌だよ。でも、その子の名前は“ローレン”っていう名前じゃないけどね。結局一度も口をきくことなく終わってしまったよ。あとは、フランス語を入れて歌ってみたかったんだ。北欧諸国では、フランス語で歌う人は誰もいなかったと思うんだよ。そういう意味で新しいことをやってみたいと思って挑戦したんだ。
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――楽曲の中でも一際目立っているのが、テームのハイトーン・ヴォイスだと思うのですが、ご自身では自分の歌声についてどう認識していますか?
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| テーム: |
僕は高音で歌うヴォーカリストが好きだったんだ。スティングやU2のボノ、デヴィッド・ボウイもそうだと思うんだけど、やっぱり低音より高音で歌っているのが好きでね。高音の方がエキサイティングな感じが出るから。僕は低音で歌うと声の力がどうしても弱くなってしまうんだ。高音の方がピッタリはまるんだよね。
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――アルバムのジャケットが可愛らしいサルの絵なんですけど、どういう意味が込められているのですか?
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| テーム: |
このアルバムでは愛について歌った曲が多いんだけど、“愛”ってこのジャケットにピッタリなんだ。あと、僕たちは動物が好きで、2ndアルバムにもたくさんの動物の写真を使ったし、アニメの「名犬ラッシー」がすごく好きで、ビデオの中にラッシーを登場させたりしたこともあったな。動物を自分達の作品に登場させることで、メンバーが持っているソフトな部分やナイーブな部分を表現しているんだ。
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――このジャケットから大きな愛や優しさが感じられるし、そもそも音楽って動物的な本能が元になっているんだと気付かされました。
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| テーム: |
音楽の力ってすごく強いもので、例えば、映画は音楽があるからシーンが盛り上がるわけで、音楽がない映画は全然気持ちが盛り上がらないんだ。人間はもうずっと昔から音楽を知っていて、落ちている木を叩いて音を出すっていうことから音楽を始めている。感情を音で表現することで人間は少しずつ言葉を覚えていったから、言葉で何でも表現するようになったのはそれからだと思うんだ。だから、一番最初はやっぱり音だよ。音楽って自分達の感情に直接訴えるものであり、自分達が思っている以上にずっと昔からあるものだと思うんだよね。
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――音で表現するということは、人間が本来持っている才能でもあるんですね。では、テームにとって音楽とは?
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| テーム: |
僕にとっての音楽の定義は、笑ったり、怒ったり、生きている上で感じた感情を、音楽という形でラッピングしてみんなに届けることなんだ。リスナーがそのラッピングを開けて、聴いてみて、“同じ感情だった”とか、“こういう気持ちになれるんだ”って思ってくれるのが音楽だと思う。でも、最近思うのは、音楽がありふれているということ。道を歩いていてもお店から音楽が流れてくるし、移動している車の中やバスの中もそうだし、いろんな音楽が流れている。そうすると、いつも音楽が周りにあることが当たり前になってきてしまって、音楽に対する感覚が麻痺してしまうところがあるのかもしれない。だから、音楽が鳴らないところに身を置いて、音楽が聴きたいなとか聴く必要があると思って初めて音楽を聴くと、生まれてくる感情があるだろうし、音楽に対するありがたみも感じやすくなるんじゃないかな。音楽がいつも周りにありすぎるものどうかなと思うね。ミュージシャンがあんまりそういうことを言っちゃいけないかもしれないけど(笑)。
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| インタビュー・文/阿部英理子 写真/Yuki Kuroyanagi |