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――まずアルバム・タイトルの『グエロ』ですが、どういう意味なんですか?
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| ベック: |
スペイン語のスラングでね、“ホワイト・ボーイ”って意味なんだ。ロサンゼルスの僕が生まれ育ったところは、住んでる人達がメキシコ人かセントラル・アメリカ人でさ、白人は実際僕ぐらいだった。それで通りを歩いてると「よう、グエロ!」とか呼ばれてたんだよね。そうだな、本当の仕事がこれから始まるんだと思っているよ(笑)。今作を完成させるまでに時間がかかった理由は、実は約アルバム2枚分の曲をレコーディングしたからなんだ。曲があと3曲あれば、次のアルバムもリリースできるほどさ。
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――そのタイトルが入った「Que On Da Guero」は今作の中でもお気に入りの一曲です。この曲のアイディアはいつ頃出て来たものなんですか?
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| ベック: |
結構長年の間、頭の中にあったんだよ。その区域はさ、おおらかでまったりしてて、すごくおもしろい環境なんだけど、問題も犯罪ももちろんあって。それで僕はどんな風にこの街のことを語ればいいのか、なかなか決められなかったんだよ。ネガティヴなことも存在してるわけだからね。だからこの街の面白いところ、奇妙なところ、哀しいところ、すべてを少しずつ取り上げて、曲に仕上げたんだ。
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――それで新作『グエロ』ですが、ベックのマスターピースと言える作品なったと思います。ご自分でもそう思いませんか?
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| ベック: |
ありがとう! でも自分では評価できないからなあ。7ヵ月もずっと同じ部屋で、長時間同じことを繰り返す作業をしてて、なんていうか自分がすっぽり曲の中に入って生活してる感じなんだ。だから終わりに近づく頃には、客観的に見るのは難しくなってるし、良し悪しすら分からなくなる時もある。でも僕なりにベストは尽くしたし、心から感じていることを曲にしたつもりだよ。
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――では今作のコンセプトはどういうものだったんですか?
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| ベック: |
パワフルなサウンドとビートがあって、シンプルで、体を動かさずにはいられない、楽しくならずにはいられない、そんなアルバムにしたかったんだ。それでいて、感情面のクオリティも音楽に溶け込んでいるようなね。楽しいものでありつつ、感情の深みも表現できているレコードにしたかったんだよ。今回は僕がいままでに試みてきたこと、ビートやつぎはぎのサウンドで実験してきたこと、そしてその中で学んだこと、すべてを混合させようとしたんだ。『メロウ・ゴールド』や『オディレイ』でも、フォーク・ミュージックをビートやサンプリングにぶちこんで、っていうことはやってたけど、よりはっきりした形で、サウンドを統合できた気がしてるよ。
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――特に今作ではシンプルでダンサブルなビートの魅力が最大限に生かされていると思うのですが、ビートが人を惹きつけてやまない理由はどこにあると思います?
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| ベック: |
その魅力は単純明快でダイレクトだってことだと思う。ヒップホップの素晴らしさはそこにあるよね。シンプルだからこそ、聴くものに広い空間を提供することができる。だから多くの新曲で試みたのは、ビートの上にあまりのせ過ぎずにビートの魅力を残すことだったんだ。でも同時に、メロディも入っていて曲としても成立してるっていうね。
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――そうですね、ビートが生きてるのに、耳に残る「歌」の良さもしっかり入ってますよね。
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| ベック: |
うん、僕は常にもっと実験的な新しいことがしたいって気持ちがある一方で、シンプルなメロディがある、心に残る曲も大好きだからね。だって実験的なことを試したとしても、最終的には音楽って聴いて楽しいものじゃなきゃって思ってるし。
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――他のプロデューサーにはないダスト・ブラザーズの魅力といったら何になるんでしょう?
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| ベック: |
彼らはヒップホップのマスターだし、それに僕とテイストが似通ってるから好きなんだ。彼らと一緒に作った曲だと、その上にラップをのせたりするのもすごく自然とできちゃうんだよ。
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――ホワイト・ストライプスのジャック・ホワイトが「Go It Alone」に参加してますが、これはどういう経緯で実現したんですか?
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| ベック: |
ジャックは友達なんだけど、グラミー賞の時に彼がロサンゼルス来てて、スタジオに遊びに来たんだ。それで「ベースをプレイしたいな」って言うから、ジャックにベースを渡して、僕はキーボードで一緒にプレイしたんだ。最高だったよ。この他にも何曲か作って、ジャックがドラムを叩いた曲もレコーディングしたんだよ。ジャックとも音楽の趣味が似てるんだよね。
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| インタビュー・文/鈴木美穂 |