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今作は前作とは趣を変えて、よりバンド的な、軽やかでフリーな演奏が聴けますね。
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| 大野由美子 |
前作は事前に50曲も用意して、3年をかけて緻密に作り込んでいったので、次はインプロっぽい、セッション的な形で、あまり考えない、作り込まないでさっとスタジオに入ってさっと作ろうと思ったのね。だから10日間ぐらいで録音は終わっちゃった。
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前作はある種の社会意識的なものが曲作りのモチベーションになったそうですが、今回は何がきっかけになったんでしょう。
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| シュガー吉永 |
前作は9.11とかいろいろなことがあって、私たちだけじゃなくみんなが社会的な意識を持たざるをえなかったし、それが音にも反映されて、歌詞でもそういうことを歌わずにはいられなかったのね。だから前作はバッファローにしてはしっとりした感じだったけど、今回はドライだよね。ある種の諦め感みたいなものはあるよ。世界が良くなったわけでもないけど、だからって絶望してばかりもいられないじゃない? 意外に世の中捨てたもんでもないよねって意識が出てきたから。本作が幸福感に満ちているのは、その反映だと思うよ。まじめな社会意識とかはごく当たり前のものとして私たちのまわりに溶け込んでるけど、今回はそれを踏まえたうえで突き抜けた、その先のすごく幸せな時代に入っているんじゃないかな。
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今作はバッファローを形作るいろんな音楽の要素が聴けますね。ジャーマン・ロック、テクノ、ファンク、サイケデリック、ロックンロール……でもそう融合の仕方がすごく自然で無理がない。なんか、みなさんの日常がそのまま音となり演奏になったようで。いい意味で肩に力が入ってない。
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| 大野 |
曲作りでスタジオに入るときに、楽器を持ちながらまずおしゃべりをするわけ。音楽の話じゃなく、近況報告とかとりとめのない話ね。それが一段落してから演奏するわけ。たとえばドラムのアツシ君のとこに双子が生まれたとか、私が犬を飼い始めたとか。ふだん日常的にお互い会ってるわけじゃないから、まずそこからスタートするの。
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みんなの気持ちをほぐす。
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| 大野 |
それもある。確かにうちのバンドって、生活に近い音楽を作ってると思うから、いきなり音を出すより、お互い何を考えていて、どういう生活をしていたか、3人が集まったときにどういう気分なのか確認することが大事だと思うのね。それを知ると新鮮な気分になって、自ずと音ができるわけ。
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| ムーグ山本 |
これこれこういう風な音をやろう、とか今回はこれっぽく、みたいな話はしなかったですね。たとえば、あるときP.I.L.にはまって、『パリ・ライヴ』とか最高じゃん、みたいな話をして、じゃあちょっとやってみようってP.I.L.みたいな音を出してみたんですよ。すると実に簡単にそれらしい演奏ができちゃって。最初は楽しいんだけど、すぐ飽きちゃう。わかりすぎるから、できちゃうから逆につまらないんですよ。だからそれよりは、音楽とは関係のない話をして、それをきっかけにして曲を作ったほうが面白いし、より自由で刺激的だと思うんですよね。だから双子に刺激された曲とか、犬の話に刺激された曲とかある。どれとは言わないけど(笑)。
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| 取材・文/小野島大 |