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――新作は、静謐とした音の中にもどこか温もりを感じさせるようなところがあって、音楽的な次元とは別にとてもエモーショナルなものを作品から強く感じられるのですが。
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| デイヴィッド: |
今作の歌詞は激しくて強い感情を歌っていて、穏やかで耳にやさしいサウンドとコントラストを成しているんだ。今作の曲は基本的にギターで作ったんだよ。エレクトロニックな要素もあるけど、基本はギターでね。ただ、ギターはギターでも普通に弾いたわけじゃなくて、叩いたり、小突いて音を出してみたり、弦を弾く以外のことなら何でもやってみた。とにかく、自由でオープンな曲作りができる環境を作るためにいろいろ実験したんだよ。
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――新たな世界に挑戦した、と。
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| デイヴィッド: |
そう。人生にはいくつか段階があって、新たな段階を迎えるたびに、その時に起こっていることをうまく表現する方法が見つかるものなんだよ。僕は今回、自分の身に降りかかったことや、難しい問題を抱えていた時期の感情を表現したかったんだ。
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――問題、ですか?
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| デイヴィッド: |
このアルバムは、今までの僕の作品とは全く違うんだ……どうやったらうまく言えるかな。テーマは……不快な感覚、だと思う。幻滅や、純潔の喪失とも言えるかもしれない。自分の感情に向き合うのがつらくて、目をそらしたい時があるよね。でもそうした不快な感情や、それを生み出す元になった出来事が否定することも隠すこともできない存在になってしまうこともある。タイトルの『ブレミッシュ(=傷、汚点)』はそのたとえなんだよ。つまり、皮膚にできる傷や染みのように、鏡を見る度に目に入ったり、いつも視界に入る場所にあったり、現実の一部になってしまっているということ。もう否定したくてもできない、実体のある現実なんだ。
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――なるほど。ところで今作は、デレク・ベイリーやクリスチャン・フェネスといった即興音楽/エレクトロ・ミュージックの鬼才によるゲスト参加も大きな話題のひとつですが。
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| デイヴィッド: |
そうだね。だけどデレクもクリスチャンも一緒にスタジオにいたことは一度もなかったんだよ。電話やEメールで連絡を取り合って、音の素材をやり取りしながら作り上げていく感じで。デレクは、断片的で突拍子もない、伝統的なやり方と対立するような演奏の仕方をするんだけど、それが僕の頭にあったアイデアとうまく合うような気がしてね。クリスチャンには、サウンド・ファイルにヴォーカルとベース・ラインとギターを加えたものを送って、好きなようにアレンジしてもらった。そうしたら、あんなに美しいエレクトロニック・アレンジを施してくれたんだ。
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――では最後に、今後の予定を教えてください。
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| デイヴィッド: |
うん。まず、これから短いヨーロッパ・ツアーが始まるんだ。弟のスティーヴ・ジャンセンと、日本人のヴィデオ・アーティストの高木(正勝)さんと一緒にね。それから、坂本龍一との共作シングルが出るんだよ。『World Citizen』っていうタイトルで、日本で10月にリリースされるんだ。そしてツアーが終わったらクリスチャン・フェネスの作品も手伝うことになってる。スティーヴの新作もね。それに、新しいアーティストも発掘していきたいんだ。僕のレーベル(サマディ・サウンド)で、小さなファミリーを作るのが夢なんだよ。
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| インタビュー・文/天井潤之介 |