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インタビュー

The Dears

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僕がやるべきことは提示すること。投げかけること。で、理想は、そのプロセスの中で観客と繋がることができたり、一緒に楽しむことができたり……ということだね。
The Dears
形態はバンドだが、その音楽性は中心人物マーレイ・A・ライトバーンの内世界をそのまま形にしたものであり、ザ・ディアーズとはマーレイ・A・ライトバーンのことだと言い切ってしまってもかまわないだろう。悲しみや絶望感が動かし難く沈殿しているが、それでもなんとか光を見つけるべく祈るように歌うこの黒人歌手は、繊細さとカリスマ性を同居させた不思議な魅力の持ち主。移民してきたユダヤ黒人牧師の息子として育ち、'95年にモントリオールでバンドを結成するも、アルコールやコカインに溺れて活動停止に……といった過去を経て、2枚目のアルバムが遂に世界各国で高く評価されるまでに至った今、彼はどこへ向かおうとしているのか。
――先日のイベント(5/14にリキッドルーム恵比寿で開催された“カナダ・ウェット”。熱い視線を集めるカナダのロック・シーンから精鋭5組が来日して熱演を繰り広げた)では、あなたが他のバンドのメンバーからもリスペクトされていることが伝わってきましたよ。
マーレイ: いやいや、ハハハ。みんなお互いにリスペクトし合ってるんだよ。でもあの瞬間まで、バンド間にこれほど強い結びつきがあるとは僕も気付いていなかった。こうやって日本に一緒に来て、同じステージに立ってみてわかったんだ。それぞれ多様な個性を持ったバンドだけど、こういうコミュニティの中の一つとしてディアーズが存在していることをうれしく思うね。
――エンターテインメント性を重視するバンド、観客との一体感に重きをおくバンドというふうに、バンドによってライヴに求めるものは違うと思うんですが、あなたはライヴに何を求めていますか?
マーレイ: 僕個人の話をするなら……まず僕はステージに上がったら目を閉じて、宇宙との繋がりを感じられるよう試みるんだ。それから、演奏する曲には全てその曲の“出どころ”というものがあるわけで、そこに立ち返るように意識する。そしてそれを観客に伝えていく。その一連の感覚をちゃんと自分で実感できれば、僕はそのライヴを楽しめるし、観客との繋がりを感じることもできるんだ。でもそれはやっぱり日によって違ってて、自分の内面を見つめているだけの時もある。
――つまり、曲の出どころを観客にもイメージさせ、できればそれによって繋がりたいと考えているわけですか?
マーレイ: 答えるのが難しいな。まず、曲の出どころがどこだろうと探っているのが、ステージ上の僕の状態なんだ。で、その出どころにまで到達できていないことのほうが実際は多いわけで。自分でもよくわからないことを観客に“わかってくれ”と言うのはおかしな話だし。だからもちろん僕の曲をこういうふうに受け止めてほしいと強要するつもりはまったくない。僕がやるべきことは提示すること。投げかけること。で、理想は、そのプロセスの中で観客と繋がることができたり、一緒に楽しむことができたり……ということだね。
――それはライヴに限らず、ディアーズのアルバムを聴いていてもよくわかります。おっしゃるように、あなたは答えを限定していない。あくまでも、投げかけているのだという。
マーレイ: うん。答えがわかっていたら、自分は神だ……って話になってしまうよ(笑)。答えを限定することなんかできっこない。僕は単なるロックバンドのソングライターなんだから。むしろ、神様のいる場所から遠く離れたところにいるほうのね(笑)。
――恐らくあなたが言う曲の出どころは、あなた自身の内面にある動かし難い喪失感や絶望感なんでしょうけど、そこから始まってはいるものの、それを聴き手に押し付けるのではなく、音楽として鳴らすプロセスの中で何か別の大きな世界観がバーンとイメージとして立ち現れる。だから決して独り善がりにはなっていないんですよね。それがアルバム『ノー・シティーズ・レフト』を聴いて、僕がいいなと思ったところなんです。
マーレイ: うんうん。このアルバムを作った時って、世界がとてもダークでね。そこから出て行くためにはどうすればいいのかってところで作ったのがこのアルバムだった。で、このアルバム全体を見ると、ある意味、A面とB面があるようにも考えられる。B面はノイズ的な曲で始まっていて(「ピンド・トゥギャザー, フォーリング・アパート」)、そこにはダークな世界が広がっているけど、徐々に希望という光が見えもするんだ。だけどその光に近づいたかと思うと、また引き戻されてしまう瞬間がある。つまり光が見えていて、今よりいい毎日が待っているんだという希望を持ちつつ、時折後退しながらもなんとか前進しようとしている……っていうのが、このアルバムの流れなんだ。
――このアルバムで、そうしたことを十分に表現しきったわけですが、それを表現しきった今、次はどこが出発点になるのでしょうか。やはりまた悲しみや絶望感に立ち返って曲を書くのか、あるいはそこから解放され、もっと自由な気持ちで書いていくのか。
マーレイ: いい質問だね。その時になってみないと僕もわからないけど、同じことの繰り返しはしたくないから、アプローチは変えていきたいと思っている。このアルバムはずいぶん前に作って、そのあと世界を2周するくらいツアーをやったから、その中で経験したこと、吸収したことが必ず反映されるはずだし、そうじゃないといけないとも思うし。このアルバムを作ってから、僕は未来に向けて自分の過去を消化していくための作業をやってきた。そしてある程度それができたという実感もあるから、次に作るのはもっとフレッシュで、もっとクリアなアルバムになるんじゃないかと、そう思えるんだ。
インタビュー・文/内本順一
■Release Information
『No Cities Left』
The Dears
NEW ALBUM
『No Cities Left』
PONY CANYON
PCCY01731
¥2,625 (tax in)
発売中
1. We Can Have It
2. Who Are You, Defenders Of The Universe?
3. Lost In The Plot
4. Second Part
5. Don't Lose The Faith
6. Expect The Worst/'Cos She's A Tourist
7. Pinned Together, Falling Apart
8. Never Destroy Us
9. Warm And Sunny Days
10. 22: The Death Of All The Romance
11. Postcard From Purgatory
12. No Cities Left
13. End of a Hollywood Bedtime Story (Live) *
14. Lost in the Plot(Live) *
*日本盤ボーナス・トラック
■Streaming
マーレイからメッセージが届いています!


■Link
ザ・ディアーズに関する情報は下記HPで!
オフィシャル・サイト(アーティスト・英語):
http://www.thedears.org/music.html

オフィシャル・サイト(レーベル):
http://www.ponycanyon.co.jp/international/rock/arts/dears/index.html

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