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――CDのリリースとしては、『Baby』以来ですが、その間は何をされてたんですか?
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| 次松(vo): |
DVD『Babyish』をリリースして、あとはライヴくらいかな。
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| 金澤(dr): |
あと、半年くらいっずっとレコーディングしてましたね、今回のシングルとアルバムの。
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――まずシングルですが、凄くポップな感じですね。それなのに、世界が完全に「君」と「僕」だけの2人でしか成り立っていないから、切ない印象も受けました。
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| 次松: |
「君」と「僕」以上の世界になったら、メッセージ・ソングになるじゃないですか。一人称を「俺らは」にしたら、対「社会」になってくるんで。僕らはそこまで大きなメッセージをまだ持っていないってことだと思いますね、きっと。それに、2人くらいの世界が自然なんですよ。
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| 金澤: |
あと、メンバー全員が一貫して切ないのが好きなんで、自然と出てくるんです。例えば、うどんやったら、ものすごく好きな七味をゲットしたら絶対かけるじゃないですか。それが僕らにとっての切なさなんで、最後に必ずパーッとかけちゃうんです。たぶん、みんな切ない恋愛ばっかりしてるからじゃないですかね。
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――男性10人で演奏するにあたり、その切ない世界観を保つ秘訣はあるんですか?
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| 金澤: |
人のせいにしないで自立することですね。ライヴ中に僕がドラムをめっちゃミスったところで、観に来た人は「ドラムがミスった」ではなく、「The Miceteethがミスった」と捉えるじゃないですか。なので、責任をもって演奏するという意識を一層高くしています。そうしているうちに、まだ個人的領域なんですけど、前作よりは自分たちで感じ取れるくらいスキルアップしたと思いますよ。
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――自分で手ごたえを感じるのって難しいんじゃないですか?
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| 金澤: |
そうですね。ただ、そういう時ってドラムを叩いていて楽しいんですよ。あと、今回自分たちのプライベート・スタジオを持てたんです。“tento”っていう。今までスタジオで練習やレコーディングをやってたんですけど、そこに払ってるお金のことを考えたら、スタジオ作れるんちゃうかなって思って。ちょうど去年の9月くらいからスタートしたんです。もちろん、初めてのことやったから衝突もあったり手探りしながらだったんですけど、そこでやることによって、メンバーの人間的な部分にすごい触れられた気がしました。より一層輪が小さくなってきたっていうか、集まりだしてきたんかな。真ん中にあるものが確かになってきて、それに惹かれてちょっとずつ。寄ってきたがゆえに色んな部分が見えたというか、今回はそんなアルバムでしたね。スカは“人間ミュージック”やっていう。こと・・・あの・・・(照れ笑い)。
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――いや、今めっちゃ良いこと言いましたよ(笑)。
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| 金澤: |
“人間ミュージック”、そのままなんですよ。会話がその人のイメージと違いすぎる人って多分いないと思うんですけど、音楽も同じで。例えば、めっちゃ優しい人の出す音ってめっちゃ優しいし、気の小っこい人の出す音は気が小っこいですし。会話を楽しむ・・・楽しめるルールのある音楽というか。対戦式のゲームみたいなノリですよね。作りこみ過ぎてキマリまくってる音楽とかじゃなくて、もっと自由に誰と戦ってもいいような。その中にはルールを壊していってもいいていうルールもあって。ヒップホップもそうですけど、スカも基本的にその壊していっていい概念が根底にあるから、そいつが言い切ったら変わったことをやってもOKなんですよ。スカが最初からそんな音楽やから面白かったとかじゃなくて、本当にたまたま気付いたんです。僕らに関して言えば、なんかこう、その普通さで勝負したいんですよ。別に格好つけんでもいいし。そのスタンスでいいから戦っていこうぜ、みたいな感じ。今回はそんな風に思いました。
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――そんなことに気付けたというのも、“tento”のお陰ですね。
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| 次松: |
この前ケイちゃん(森寺啓介[g])がうまいこと言うてたんですけど、「生活を音楽に近付けるんじゃなくて、音楽を生活の方に近付けられたらな」って。
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| 金澤: |
今まで音楽をするために生活を犠牲にすることが多かったんですよ。でも、このバンドはずっと続けたいから、生活に負担がかかるようなやり方しとったら、バランス取れへんくなってくるじゃないですか。だから、うまくやれる方法を模索していたんですけど、今回実現したプライベート・スタジオってのは、その一歩目やったんですよね。実際そういう環境を自分らで手にすることによって、今までやっぱり生活時間をバンドのために照準を合わせてしてたのが、逆にそのスタジオはいつ使ってもいいから、自分らの生活主体に考えて。で、空いたときにスタジオに入れたりとかできるし。練習もそんな感じでちょっとずつしてるんですよね。
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――そうして完成した『from Rainbow Town』。タイトルどおり、とてもカラフルな作品ですよね。
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| 金澤: |
うん、カラフルやと思います。ジャケットがレインボータウンなんですけど。宝箱というか、音楽の魔法とか空気感ってやつをむっちゃ意識してて。どの時代の人が聴いても、自分が思い出して10年、20年後に聴いても価値のあるものにしたいなって想いが強いですね。僕はアナログが好きなんですけど、それは音楽の空気感が入っているからなんですよね。なので今作は、そのアナログ感をめっちゃ意識しましたね。その結果、宝箱が開いてる感じというか、キラキラしてると思いますよ。そのアナログ感、音楽に対しての空気感というもんがいっぱい入れられたんちゃうかな。というところでは、今の段階のThe Miceteethとしては100点満点のアルバムです。
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――今後やってみたいことは?
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| 金澤: |
最近、マリンバとティンパニーをゲットしたんですよ。中古楽器屋さんの廃棄処分に行ったら、一番奥に眠ってて。それを持って帰ってきたんですよけど、スタジオはそんなに広くないんですよね。もともとメンバー10人おって、ドラムセットとかピアノが置いてあるから、今の段階でもう狭いんですよ。そこにでかいのが2個一気に来たから、もう何もできひんぞ、みたいな感じになってもうて、練習ができないんです(笑)。なので、どうにか新しい、さらに広いスタジオを作ろうっていうのが俺らが叶える次の夢ですよね。10人で演奏するには広さが必要やぞ、と(笑)。
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| インタビュー・文/林 知佳子 |