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――一『諸君!!』、仕上がってみていかがですか?
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| 森山: |
テーマを持たないというテーマの下、ここ1年間で作った曲が主で、僕自身、自分のアルバムを客観的に聴けなかったりするんですけど、今回は自分のアルバムだって事を忘れてしまうぐらい、何度も聴けちゃう感じはありますね。どの曲にも主人公がいて、1曲1曲台本を読むような気持ちで、「こいつは、こんな感じだろうな」って感じで。でも必ずそこには自分の経験に基づいている息吹が流れていて。歌い手として、そこと自分の演じやすいキャラクターと照らし合わせる事を意識して歌いました。
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――一収録曲について聞いていきたいのですが、まずは「スノウドロップ」。これは花の名前ですが、この花の存在は元々知っていたのでしょうか?
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| 森山: |
響きでは覚えていたんですけど、知らなかったです。だからこの名前が出てきた時、「あ、なんだろうな?」と思って色々調べていったら“待雪草”って花で、花言葉が“希望”って知って。そしたら曲の浄化も含めて自分の恋愛観と少し似ているなって思って、その言葉の響きと意味合いに誘われながら作った曲です。
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――一中 孝介さんへの提供曲「花」は、セルフ・カヴァーしてみていかがでしたか?
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| 森山: |
元々この曲は中君の歌声を聞いて引っ張られて生まれた曲だからまずそこが前提にあったし、僕もどっかで臆病で頑固な人間なので自分が作ったからと言って闇雲にセルフ・カヴァーするのも図々しいなって思ってたんです。でも自分が弾き語りしてみた時に、中君の持っている島国の美しい花ではない、自分なりの…実はこう見えて渋谷生まれの渋谷育ちなんですけど、道端に咲いているような虫に食われながら、汚い空気をいっぱい吸いながら、でも健気に咲いている花をイメージしながら歌ったらすごくグッと来たんですね。「歌う人によってそれぞれの花が咲く歌だなあ」と感じて。じゃあ自分もこの歌を伝えられる権利があると思って、その権利を主張した感じですかね。中君が歌って広めた花を、横に並んで自分も一緒に歌わせてもらっているっていう気持ちで歌っています。
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――一アルバム・タイトル曲の「諸君」は?
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| 森山: |
実は今回テーマを持たないがためにすごく殺伐としたものに仕上がりそうで、「このままだと残念なものになるかもしれない」って思ってたんですね。でも「生まれてきた作品達には何の罪もないし」とも思いながら…。そんな時、最後にできあがった曲が「諸君」で、すごくこの曲によって救われたんです。アルバムの腰が固まったというか、これが出来たことによって今まで作ってきた、ある種偏った世界の中でヴァラエティの富んだ作品達をアリにできた、ポテンシャルをグッと引き出せたんです。いわゆる、“皆で世代を超えて風を感じたい、同時代を共有したい”って言う、後付のテーマなんですけど。
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――一では、珍しくウェスタン調に挑戦した「風曜日」は?
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| 森山: |
これは共作パートナーである御徒町がタイトルも含めたベーシックな詞を書いてきて、すごくハッピーな曲だからカントリー&ウェスタンがいいなって思ったんですよ。“風曜日”っていうのはある特定の曜日ってわけじゃなくて、毎日だったり、未来だったりのことを言っていて、“いつでもその風を感じられるような日々を誰かと過ごしていたいよね”っていうメッセージがある曲なんです。大体いつも御徒町がベーシックな詞を書いて、僕がそれに曲を当てて、それからさらにその曲を微調整して求めているフレーズにたどり着くんですよ。お互い「そう来たか!」みたいな。だから共作してるのが楽しいんですよね。この曲はそういうセッションがうまくできたうちの1つで、彼の書いてきた詞にすごく感銘を受けた曲です。
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――一その御徒町凧さんとはどんな方なんですか?
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| 森山: |
高校時代のサッカー部の先輩後輩で僕の1コ下なんですけど態度がデカイからむこうが年上に見られることが多いんですよ。ライバルって訳ではないけど、いつもあいつには絶対笑われないものを作ろうって思ったり、あいつが作ってきたものの中で粗捜ししたりしてます(笑)。お互いの作品の基準っていうのが2人で守ってきているものだから、たとえどちらか一人が100%作っていた曲でも、“共作”って呼ぶようにしているんですよ。切磋琢磨してきた感もあるし、その緊張感と張り合いがなければこれからも続けていかれないと思うんです。お互い望んでいる事は同じだけど、それに対して少しでも甘えたらそこからがボタンの掛け間違いになっちゃうって常にどこかでは考えてて。僕らにとって曲作りって、「いつでも楽しくなくなったらやめようね」って言ってる遊びのひとつでもあるんですよ。
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――一「風曜日」の歌詞で“風車の動力は風”とありますが、直太朗さんの原動力は?
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| 森山: |
自分のコンプレックスや憧れですね。曲作りでも、自分は都会育ちだから郷愁感のあるものに憧れたり。母親も尊敬しているけど、母親として触れ合うことが少なかったから、少し曲に母性を求めたり。自分と向き合って乗り越えていく成長の過程だったりするのはそういうどこかで誰かに勝手に見捨てられて置いてけぼりになっている自分であって、それは曲を作るときに必ず出てきます。こういうのってこの先、良くも悪くも一生付き合っていくものなんですよね。
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――一普段詞を書く上で心掛けていることってありますか?
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| 森山: |
なかなか難しいんですけど、まずやっぱり自分の中で風景が浮かぶものを言葉にするようにしています。それは主人公の置かれている“孤独”だったり、その曲を僕がステージで歌っている風景だったりもするし。イメージが強ければ強いほど言葉にはリアリティが出てくるから、“風景が浮かぶもの”っていうのが大きいですね。油断している時ってすごく無自覚な状態だから、そういう時にポッと浮かんだりするんですよ。大体曲と歌詞が一緒に出てきながらその原風景がイメージできて。そういう時は強い曲ができますね。
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――一最後に、今までもらったアドバイスの中で最も効果的だったのは?
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| 森山: |
母親からもらった“継続は力なり”ですね。たとえそれが“毎朝牛乳を一杯飲む”であっても、何かを続ける事って大事で。例えば、音楽を続けたりとか、誰かと一生を共にしたりとか色んな次元での続ける行為があって、何を選ぶかは自由なんですけど、続けていく中で必ず自分と向き合わなきゃいけない事ってあるじゃないですか。そうやって自分を知っていく事ってすごく辛いけど、その身の程を知って初めて開ける未来があったりするから、そういう意味ですごく学びましたね。その結果自分は今こうして音楽を続けていて、それによって人間関係や自分の人格の部分が築かれてきましたから。
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| インタビュー・文/猪俣ロミ |