|
――今回のアルバムは、前作『Fosbury』のようなエレクトロ方面からは大きく離れましたが、今作までの間に発表された「Chinatown」がベースになっているようにも感じました。
|
| グザヴィエ: |
「Chinatown」ってすごい僕らのトレード・マーク的な音に忠実な作品だったと思うんだ。今回はそういった音を集めた作品にしたいっていう意図があった。リズム・セクションの醸し出すケミストリーな部分…ソウル・ミュージックじゃないんだけれど、グルーヴィーさが感じられるところとか。皆でシング・アロング出来るようなサビだとか…そういう部分に初めから重きを置いて楽曲制作をしていったんだ。今回は過剰なアレンジを避けて、曲の持っているスピリット自体を大切にして曲を創り上げていく…という感じだったよ。
|
| メデリック: |
レコーディング中にストーン・ローゼズやニール・ヤングや、ラーズ…特に「Timeless Melody」が大好きだったんだけれど、そういったアーティストをよく聴いていたんだ。すごくキャッチーでシンプルで、普遍性があって今聴いても色褪せない…今回改めてそこを突き詰めたかったんだよね。最近でもヴァンパイア・ウィークエンドみたいな面白い音をやっているバンドもいるんだけど…。
|
| グザヴィエ: |
ヴァンパイア・ウィークエンドは面白いと思っていたんだけれど、案外早く聴かなくなっちゃって。今回目指したのは、最近の入れ替わりの激しい音楽ではなく、いつ聴いても楽しめる、長い間楽しんで聴けるようなものにしたかった。
|
|
――TAHITIらしい、という音でありつつも、今までのTAHITIにはなかった音作りのアルバムだと思います。どれかと言うと、ミニ・アルバムの『A Piece Of Sunshine』に近いと感じました。
|
| グザヴィエ: |
それは面白い意見だね。たしかに今回の作品とあの作品は共通するヴァイブスみたいなものはあるかなとは思う。あの作品は『Wallpaper For The Soul』に“入れなかった”曲たちによる作品なわけだけど、『Wallpaper For The Soul』自体は『Puzzle』を作った時の反動として実験的なことをしようとすごく意識した作品で。『A Piece Of Sunshine』はそこに入れなかった、いわゆる“タヒチっぽい曲たち”であったわけだから、その対比はすごく面白いと思ったよ。
|
|
――バンドのキャリアとして10年目にして、4枚目のフル・アルバムとなったわけですが、経過してみて改めて実感としてあるものは?
|
| グザヴィエ: |
ここまで来られた自分たちに誇りに思っているよ。今作はセルフ・プロデュースで、全部自分たちで、そして自分たちのスタジオで録り終えられたというのはすごく達成感もある。
|
| メデリック: |
2月頃からレコーディングし始めて、9月にこうしてリリース出来るという時間的なプロセスにおいても、短い期間で出来たというのは“新鮮さ”が保存出来ている作品になったと思っている。プロデュースだけじゃなく、ミックスもペドロがやったからね。本当に自分たちで全部やれたんだ。すごく満足している。
|
| グザヴィエ: |
こういうアルバムは実はずっとやりたかったんだ。でも、こういうアルバムを作るのが怖い部分も今まではあった。作品を作る時は常に“人にこの作品をよく思われたい”と意識し過ぎていて、新しいことや実験的なことに価値観を見出してしまっていたんだ。でも今回はそうじゃなくて、“ストレートでナチュラルなものを作ろう”ってなって…なぜ今回でそれが出来たかと言うと、今まで3枚アルバムを出して、あと僕はソロでも出して、やっぱりそういう10年間の蓄積でやっとそこに辿り着けたんだ。エレクトロな要素に頼るんじゃなくて、“もう一度、1stアルバムを作る”みたいな意識で作った作品だよ。
|
|
――ちなみに、ジャケットに写っているこの部屋は“タヒチラボ”なのですか?
|
| グザヴィエ: |
ごめん、違うんだ。でもイメージ的には、小さな工場みたいなところで皆がそれぞれのクリエイティヴなことをしている…曲を作ったり書き物をしたりとか…そしてたくさん写っている箱は、その中に色んなクリエイティヴなものが詰まっているっていうイメージなんだ。そして覗いている女の子の部分は、こうやって皆に僕らの世界観を覗いてもらう…その為の窓口、っていうイメージ。ちなみに、僕ら自身の写真がそのまんまジャケットに出ているのは初めてなんだ。前回はモンタージュ的な形で使ってはいたけど。そういった部分も含めて、今回のアート・ワークはデザイナー、フォトグラファーに僕らも混じって議論して創り上げたんだ。
|
|
――アルバム以外の話をお伺いします。『Fosbury』の後に、シミアン・モバイル・ディスコがあなたたちの曲をリミックスをしていましたよね。今では大活躍の彼らも、当時はまだデビュー前でした。経緯をお聞かせ願えますか。
|
| グザヴィエ: |
以前、ロンドンでのアスリートってバンドのショーに出演したんだ。結構大きな会場だったんだけれど、その時のセット間でやっていたDJがシミアンだったのさ。話してみたら彼らが僕らのファンだって言ってくれたのが出会いで。その後“リミックスを誰かにお願いしよう”っていう話が上がってきた時にアーティストのリストを出してもらったら、彼らの名前もあって。じゃあお願いしてみようってなったんだ。それで上がってきたトラックもすごくかっこよかったんだよね。『Puzzle』の頃に出したリミックスでも、当時は無名だけどその後ビッグになったDJが結構居たりするんだけれど、そういう人と仕事が出来ているというのはお互いにすごく幸運なことだと思うよ!
|
|
――逆に、TAHITI 80名義として日本のCubismo Graficoのリミックスをしていたこともありました。あのリミックスが非常に好きだったのですが、今そういうことをするとしたら誰がいいですか?
|
| グザヴィエ: |
うーん…(考え込む)。そうだね、ジュニア・シニアがいいかな。彼らはリミックスしてもされても、僕らには合うと思う。でも、今は以前と比べると僕らの中からそういったエレクトロな部分は無くなっているんだよね。
|
|
――音楽から話が逸れるのですが、あなたたちのMySpaceのダイアリーで、先日のワールド・カップ予選でフランス代表がオーストリア代表に敗れていたことが記されていました。あなたたちは熱心なフットボール・ファン?
|
| グザヴィエ: |
うん、観るのもやるのも大好きだよ! 実は今日も夜に試合があるから、気になっていて仕方が無いんだ(笑)。あの試合の日はライヴがあって見られなかったんだ。でも格下のはずの相手に敗れてしまうし、コンタクトは落としてしまうし、散々な夜だったよ…きっとあの試合よりも僕らのライヴの方が観ていてよかったはずさ(笑)。
|
|
――リーグ・アンのサンテティエンヌ所属の松井大輔という選手はご存知ですか?
|
| グザヴィエ: |
うん、知っているよ、彼はルマンでプレイしている時に観たことがあるんだけど、良いプレイヤーだよ! テレビでも観たことがあるんだけれど、フランス語もすごく上手だったよ。ちなみに、僕はパリ・サンジェルマンが大好きなんだ! やるのも大好きだから、東京でもフットサルのコートを見るといつもやりたくて仕方がないんだ。インドネシアにツアーに行った時にはライヴの後にやったりしたんだけれど、自分たちは6人で、相手には20人ぐらいメンバーがいて。前半は僕らが5対0で勝っていたのに、インドネシアは熱いから後半はヘロヘロになっちゃって(笑)。相手は人をどんどん入れ替えられて追い付かれちゃったんだよね。次どこかでやる時には勝ちたいね!
|
|
――最後に12月の来日公演へ向けて、一言。
|
| グザヴィエ: |
アルバムをいっぱい聴いて、ライヴ会場で一緒に歌えるように準備して待っていて! 会場で会えるのを楽しみにしているよ!
|
|
|
| インタビュー・文/伊藤昌利 |