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――10曲で33分、という非常に短いこの『モダン・ギルト』は、長編アルバムだった前作『ジ・インフォメーション』とは長さの面では正反対になりました。短いアルバムだからこそ伝えられること、といえば?
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| ベック: |
アルバムを作り始めるときは、どういう作品にしたいか、どういうフィーリングやサウンドにしたいかをまず考えるんだ。昔は、アルバムを作るときに、何も考えないでとにかくどんどんアイデアを出していっただけだったから、アルバムの仕上がりには、リスナーと同様に僕も驚いていたよ(笑)。でも今は、最終的にどういう作品になるべきかをもっと意識している。アルバムが時代とどう関連性があるということも重要なんだ。みんなが聴きたがるような作品を作る上で、どういうアプローチをとるべきかを考えないといけない。
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――と、いうと具体的には?
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| ベック: |
色々なウェブ・サイトをみると、アルバムで最もダウンロードされているトップ3がどの曲か分かるよね。今のリスナーは、一枚のアルバムとして作品を聴いていないことが多い。だから、アルバムを最初から最後まで一つの作品として聴いてくれるような長さにしたかったんだ。そうすれば、アルバムを聴いている最中に他のことをしないはずさ。
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――では、作るプロセスの中であなたが新しく学んだこと、より深く考えるようになったことは、何かありましたか?
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| ベック: |
今作では深みのあるメロディを追求できたのが良かったね。メロディの動きに今回は集中できた。メロディアスでポップ性のある作品を作りたくなったし、純粋に、歌っていて気持ちいい曲を作りたかったね。
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――そこで歌われる歌詞では、現代社会の問題点を、怒りや諦めのようなわかりやすい答えを提示せずそのまま言葉にしてますね。
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| ベック: |
怒りや諦めに陥るほうが楽なんだ。誰だってミュージシャンに説教されたくないんだ(笑)。特に僕に説教されたいヤツなんていないよね(笑)。だから、マクロな視点よりも、ミクロな視点をもたないといけなかったんだ。得体の知れない大きな存在に矢を撃つよりも、僕が観察した細かい点に焦点を絞ろうとしているんだ。全体像の中でパッと見えた細かいポイントに焦点を当てているんだ。どの曲も、何かをジャッジしてるわけでもないし、誰かを名指しで非難してるでもない。はっきりした標的もない。ただ、世の中のあり方が人間にどのような影響を及ぼしているかを、捉えようとしているんだよ。
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――そのアルバムを『モダン・ギルト』と名付けたのは、興味深いです。
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| ベック: |
“モダン・ギルト”というのは、それぞれの人にとって違う意味をもっているんだ。“ギルト”(罪悪感)という概念は、太古から存在している。そして今は、新しいタイプの罪悪感があるんだ。人類が変化して、新種の罪悪感が登場したんだ。罪悪感というのは、現代社会のあり方や現代人の生き方と深い関わりがあるんだ。でも、くだらない曲が好きなために、ちょっと罪悪感を感じる−−みたいな感覚もあると思うんだ(笑)。だから“ギルト”というのは、必ずしも重いコンセプトじゃないんだよ。
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