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曲が人間のように意志を持つことはないけれど、音楽が自ら意味を作り出すことができる余裕をもたらせてあげることはできるだろう。
今や伝説となった'95年の『モンスター・ツアー』以来、実に10年振りの来日公演が来年3月に決定したR.E.M.。今年春にリリースされたDVD『ライヴ・イン・ジャーマニー』でもそのステージの素晴らしさは証明済みだし、この10月上旬にはアメリカ大統領選挙にからんでケリー候補支援を訴えるツアーを行ない、ブルース・スプリングスティーンやニール・ヤングとも共演してアメリカのbPロック・バンドっぷりを見せつけもした。その後10月13日からは全米ツアーを本格スタート。デビューから23年、新旧の曲を興奮と新鮮さを失うことなく聴かせる彼らはやはりすごいとしか言いようがない。
「確かに新旧の曲がうまくつながっていくことは僕自身もすごいことだと思う。極めてシンプルな素材から複雑にアレンジされた素材へと移っていけるのは僕らのライヴ・バンドとしての力量かも。自画自賛するわけじゃないけど、僕らはずっとライヴ・バンドだったからね。バンドを始めた頃はアルバムをリリースするなんて考えられなかった。レコーディングを始めたのも、ただいいクラブに出演したいがためだったんだよ」(マイケル・スタイプ)
ツアーではもちろん新作『アラウンド・ザ・サン』の曲もプレイされている。このアルバム、メランコリックで静かな響きをたたえているが、実は熱狂的なツアーの間を縫って作られたものだ。
「去年のツアーが終わってやっとアルバムに集中できたんだ。3ヵ月、バハマで曲作りとレコーディングをしてね。ツアー中は1ヵ所にいられないことが制作の妨げになってると感じてたけど、実際はその経験がスタジオでの作業に活かされたよ」(マイク・ミルズ)
ピーター・バックもそれにはうなずく。
「そう、こんなに贅沢に時間をかけることが出来たのは初めてだった。音を熟成させる時間があったんだ。アコースティックな部分は『オートマティック・フォー・ザ・ピープル』をほうふつさせ、エレクトロニックな部分は『UP』のようでもある。今までの経験を反映しつつ、最終的にはどう1つの作品としてまとまるかを大切にしたんだ」
“1つの作品として”このアルバムは9・11以降のアメリカの暴挙の数々へノーが突きつけられている。しかしそこに反戦や反ブッシュをうたう明確で強い言葉があるわけではない。
「音楽が連れて行ってくれる方向に従うことが、僕達の希望だった。曲が人間のように意志を持つことはないけれど、音楽が自ら意味を作り出すことができる余裕をもたらせてあげることはできるだろう。結果はアルバムを聴いてもらえばわかるはず」(マイケル)
結果、アルバムからはまるで天使の梯子を思わせる天からの光が降りてくるよう。今の社会に対する悲しみや怒りや絶望が、光に包み込まれて愛と希望に生まれ変わっている。かくも美しいプロテスト・ソング(社会への抗議を込めた歌)をかつて聴いたことがない。
「政治を題材にするからと言っても政府や政府の方針を超えたところにありたいと思う。それはより個人的な視点ということだ。それでもこのアルバムは今僕らが住んでいる世界のことを反映していると思いたい。僕の個人的、また世界を見渡してきた者としての視点からすれば混乱してカオスとなったこの世界を――」(マイケル)
かつてR.E.M.は時代を超えた曲を作ることを目標にしていたと言う。しかし今は、今という時代を捕え表現することを目標にしていると言う。今を捕え、そして今を希望で包み込むアルバム、それが『アラウンド・ザ・サン』だと言える。
それから余談だが、日本が大好きなマイケルは今、実はJ-POPにハマッているらしい。「だってどれもトレヴァー・ホーン・サウンドみたいだから」だそう。
インタビュー・文/和田靜香
R.E.M.に関する情報は下記HPから!
▼
オフィシャル・サイト(アーティスト・英語):
http://www.remhq.com/
▼
オフィシャル・サイト(レーベル):
http://wmg.jp/artist/rem/
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