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椎名林檎 ライヴレポート 実演ツアー『雙六エクスタシー』@日本武道館
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椎名林檎

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椎名林檎
椎名林檎のライヴとしては過去最大の規模となる、「雙六エクスタシー」最終日の武道館公演。スタンドの下段から上段まで、360度に展開される客席がびっしりと埋まっている。ステージは、真上に丸い楕円柱形の巨大な“ふた”のようなものが吊るされてある以外は、特に触れるべき点がないシンプルなセットで、とりあえず目に入るのは機材だけだ。果たして、どのようなライヴになるやら・・・と思いを巡らせているうちに、今回のツアーのために結成されたグループ「東京事変」のメンバーが登場し、それに続いてとてもあっさりと、しかし日本舞踊のような独特の歩調で和服姿の椎名林檎が登場した。客電はまだ点いたままだ。観客がざわめく中、そのまま「幸福論(悦楽編)」でライヴがスタートした。 開場時と何ら変わらない、まるで前座のアーティストがステージを披露するような状態の会場で、拡声器を手にステージを練り歩く椎名林檎。誰もが想像していなかった始まり方と速いビートが、お決まりの“暗転”をきっかけに盛り上がろうと待ち構えていた、1万人を超える観客から主導権を奪った。あっけに取られた観客を前に、演奏を終えると同時に会場が暗転。ステージがライトアップされ、演奏されたのは「罪と罰」だ。巧妙な演出によって誰もが驚きに包まれているさ中、情念の塊のように歌い上げる椎名林檎の姿と声は、おそらく強烈なインパクトをもって会場すべての人に鳥肌を立たせただろう。やはり凄まじい声だ。これから、何か得体の知れない、すごいことが始まろうとしている。そんな予感をさせるオープニングだった。

「真夜中は純潔」「ドツペルゲンガー」「すべりだい」と、新旧織り交ぜたバランスのいいセットでステージが進行していく。そして、英語詞で歌われた「黒いオルフェ」の時に、ライヴ開始前に気になっていた楕円柱形の“ふた”に日本語字幕が映され、それが360度対応のスクリーンであることがわかる。ちなみに、そのスクリーンはその後メンバー紹介を“上映”したり(非常にクオリティの高い、笑えるメンバー紹介だった、いつの日か、何らかの作品として世に出ることになるはずなので、ここではあえて内容には触れないでおこう)、曲に合わせた映像を流したりして、ライヴの演出における重要なオブジェとして機能していく。

美空ひばりのカヴァー「港町十三番地」(秀逸!!)に続いて「ポルターガイスト」が演奏されてからは、急激にライヴのテンションが上がり出す。「ギブス」「本能」「迷彩」「歌舞伎町の女王」「茎」という有無を言わせぬヒット・メドレーを、力強いバンドの演奏よりもはるかに力強いヴォーカルで、見事に、というか“完璧に”歌い上げる椎名林檎。プロフェッショナルに観客を昇天させて、とりあえず本編は終了した。

そして、当然このままじゃ終われない観客の声援に答える形で始まったアンコール。短いMCのあと、「mr.wonderful」「正しい街」が披露され、続いて演奏されたのは『加爾基 精液 栗ノ花』収録の「おだいじに」。これは・・・すごかった。静かなトーンの演奏から瞬転し、サビの部分でステージがまばゆくライトアップされるのと同時に発された彼女の声を、私は一生忘れないだろう。会場中に響き渡ったその美しく、凛とした声は“決定的なもの”を聴き手に刻み込む声だった。

そして、完全にKOされた観衆の拍手に礼を述べながら舞台を降りた彼女を見届け、会場にいるほとんどの誰もがこれで終わりだと思っていたところに、今後の「椎名林檎」の活動を示唆するような、手の込んだ映像が巨大スクリーンに映し出された。今の段階では何も確実なものがないので、内容について述べるのは控えておくが、巨大なスクリーンに映し出された椎名林檎は確かにメッセージを発した。そして再々度ステージに上がり、そのメッセージを“言葉”にしたと思われる新曲「りんごのうた」を彼女が歌い上げ、合計20曲を超える盛り沢山の武道館公演は終了した。

ライヴの感想として、何も明確なものがないまま、この先の椎名林檎について邪推するのは野暮な話だと思う。それは間もなく明らかになるはずだから。それよりも、今回のライヴが、1つのショウとして非常に完成度が高く素晴らしいものであり、なにより椎名林檎というアーティストの存在感が、誰も近づけないほど唯一無二であったということ。その事実だけで十分だと思う。卓越した歌い手であり、マジックを見せることのできるエンターテナーであり、そして、美しく凛とした魅力溢れる1人の女性である「椎名林檎」に、あらためて惚れ込んでしまった一夜だった。
(VIBE/北條大介)
■Set List
実演ツアー『雙六エクスタシー』@日本武道館  03/09/27
1. 幸福論(悦楽編)
2. 罪と罰
3. 真夜中は純潔
4. ドツペルゲンガー
5. おこのみで
6. 意識
7. すべりだい
8. 黒いオルフェ
9. 依存症
10. 丸の内サディスティック
11. 警告
(「delayed brain」一部歌唱/ ナンバーガール・カバー/アカペラ)
12. とりこし苦労
13. 港町十三番地(美空ひばりカバー)
14. ポルターガイスト
15. ギブス
16. 本能
17. 迷彩
18. 歌舞伎町の女王
19. 茎
〜 encore 〜
(「白い花の咲く頃」一部歌唱/ カバー/アカペラ)
1. Mr. wonderful
2. 正しい街
3. おだいじに

〜 encore2 〜
1. りんごのうた(新曲)
■Release Information
椎名林檎の節目を表現した二作品が発賣決定!
1. 節目シングル「りんごのうた」(DVD付)
TOCT-4774
¥1800(税込)
NHK「みんなのうた」にて10〜11月放送中の話題のナンバー。初回生産分のみホクロ仕様ケース。『性的ヒーリング〜其ノ参〜』収録の「lasall de bain」他1曲を含む、全3曲収録。「りんごのうた」プロモーションクリップ他、秘蔵映像が収録されたDVD付き。11月25日(25歳の誕生日)発賣予定。

2. 節目DVD『electric mole(仮)』
通常パッケージ:TOBF-5291/¥4170(税込)
初回限定豪華パッケージ:TOBF-5290/¥6500(税込)
日本武道館実演を中心とした映像作品。12月17日発賣予定。
■Link
椎名林檎のオフィシャル・サイト:
http://www.toshiba-emi.co.jp/ringo/ (東芝EMI)
http://www.kronekodow.com/ (黒猫堂)
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