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OBLIVION BALL Live Report

夜9時過ぎに幕張メッセの国際展示場の3ホール分になる広大な会場に入ると、まず目に付いたのは、休憩スペースの傍らの壁一面に展開される、巨大な白いキャンバスがあるアートスペース。既にその一部分は描かれており、尚も進行中で創作されている作品は、このイベントの進行と共に完成に向かっていくといった、まさにトータル・アートを体験できるイベントらしい粋な演出である。タイムテーブルを見ると、120 Days、Simian Mobile Disco Live、Underworld、The Orbの各ライヴ・パフォーマンスの合間と、トリに、Andrew Weatherallが各1時間ずつのDJセットを計4回披露するという斬新な構成。

>> イベント概要はこちら




Photo : Junko Yoda

■120 Days
メインステージに向かうと、SUMMER SONIC '07での初来日公演も記憶に新しい120 Daysのアクトが始まっていた。デビューアルバムの「120 Days〜神秘と幻想の120日」の楽曲を中心に、新曲も交えながら1時間のライヴ・セットを披露。大胆にシンセサイザーの音を取り入れたダンサブルなサウンドながらも、バンド形態によるサイケデリックなノイズが重なり、フロアになんとも心地良いひんやりとしたスペーシーな空間を作り出し、長い夜を楽しみに来たオーディエンスは早くも気分を昂らせていた。その端正なルックスのヴォーカル、Adne Meisfjordの手拍子にオーディエンスが合わせた後にそのノイズのうねりは徐々に増していくなど、コミュニケーションに伴った音の変化も絶妙で、今後ますますの活躍を予想させるパフォーマンスだった。






Photo : Akiyo

■Andrew Weatherall
   〜 Simian Mobile Disco Live

120 Daysのパフォーマンス終了後、メインステージ後方に設置されたDJブースにてAndrew Weatherallの"Indie/ Dance set"と題したDJプレイが開始。まずは緩やかなアシッド系の音源を中心に…とは言いながらも冒頭でPrimal Screamの"loaded"と、自身にゆかりのある楽曲でインパクト大の選曲でおもてなしに、各所に設置されたスピーカーの前では音に没頭するオーディエンスが続出。 その緩やかな流れを一変させるパフォーマンスとなったのが、FUJI ROCK FESTIVAL '07にも出演したイギリスのエレクトロ・デュオ、Simian Mobile Disco。客席から見えるように円形のテーブルの上に、正面に向けてモジュラー・シンセが置かれているのが印象的なセッティング。2人が登場すると、満杯状態のフロアは最高潮に達しており、そのテンションに応えるかのごとく、バキバキの踊れるロッキンなエレクトロ・サウンドを投下!あえて客席から見えるように設置されたコンソールのツマミが回されるのを視覚的に確認しながら、共に音色がダイナミックに変化し、激しいビートにピッタリと絡みついていく様は圧巻で、随所に挟まれる長い"タメ"の後の爆発の度にオーディエンスは歓喜の渦に飲み込まれた。"HUSTLER"や"IT'S THE BEAT"などを次々披露し、ヴォルテージは最高潮のままライヴ・セットは終了した。




Photo : Teppei

■Andrew Weatherall 〜 Underworld
冷めやらぬ空気の中、一度フロアを落ち着かせるべく最初よりもよりマッタリした音で始まったのはAndrewの"Dub set"。既に次のUnderworldを見越してメインフロアの前は人が減る気配はないが、そんな人達にも気持ち良く降り注ぐレゲエ調のリズムを基調としたダブ・チューン。その解放的な音に身を委ねる間に時はあっという間に過ぎ、いよいよ本日のメイン・アクト、Underworldの登場! 絢爛な銀色のラメの衣装を身にまとったKarlと、ラフな格好で機材に向き合うRick。"Nu Train"から始まった約2時間のライヴは、終始至福に満たされた時間だった。最新作、「Oblivion with Bells」からも"Crocodile"、"Beautiful Burnout"、"Boy, Boy, Boy"などライヴ映えする楽曲がセレクトされ披露。中でも、"Glam Bucket"の徐々に音が重なりエモーショナルな度合いが増すドラマティックな展開は、彼らのサウンドのこれまでとは違った側面でオーディエンスを魅了。もちろんこれまでの名曲も次々と披露し、現時点でのベストとも言えるラインナップ。"Cowgirl"と "Rez"を混合させたアップリフトなナンバーや、代表的アンセムの"Two Months Off"、"Born Slippy Nuxx"など、見所を挙げたらキリが無い。Karlも心底楽しんでる様子で、「ファンタスティック!」を連発していたのがとても印象的だった。現在でもなお、ダンス・ミュージックの登竜門的な存在として君臨し続ける彼らの音を、こうして間近で共有できる素晴らしさを誰しもが全身に浴びながら実感していたに違いないであろう。多くの人の記憶の中に長く残り続けるであろう、素晴らしいパフォーマンスだった。




The Orb




Andrew Weatherall
Photo : Masanori Naruse

■Andrew Weatherall
   〜 The Orb 〜 Andrew Weatherall

これまでの緩やかなプレイからは一転、イベントのクライマックスに向けてアップテンポ調にスタイルを変えてきたAndrewの" Nu Skool set"。Underworldのパフォーマンスで放たれた熱気を持続させるように、アグレッシブな曲を立て続けに繋いでくる。その音に漂うように踊り続けながら、4セットそれぞれ別のテーマを基にしながらも、イベントの雰囲気をうまく汲み取った至妙な選曲と完成度の高いAndrewのプレイが、オーディエンスの雰囲気を最高の状態にして次のアーティストへとバトンを渡す、まさにイベントの立役者的存在であることを実感させられる。それを影の立役者と捉えるか、正真正銘の真の立役者として捉えるかも、それぞれ個人の楽しみ方によって変わってくるところもこのイベントをより一層深いものにしてくれたのではないかと思う。そして、フロアの熱気をちょうどいい温度に調節しきったところで、The Orbの登場である。 Alex Patersonを中心に様々な形態で活動するThe Orb。今回はバンド形式でのライヴということで、AlexのDJを始め、ミキシング、更にドラムとベース、そして珍しくMCが加わった5人編成のライブは、最新作「The Dream」で久々にタッグを組んだユースの不在をカバーするのに十二分な完成度の高いステージを披露。全体的にレゲエ色の強い出だしで演奏は始まり、生歌が入るとゆったりと踊れる雰囲気。様々なジャンルを消化した奥深い音は、VJで映し出される懐古的な映像と共にオーディエンスを解放的な気分へと誘ってくれた。徐々にダンサブルな音へとシフトし、日本のファンにもお馴染みの"From A Distance"や、EMINEMの"Without Me"のリミックスを披露し、オーディエンスを終始気持ちよく躍らせてくれた。最後はAlexが"Singin' In The Rain"をかけたまま退場。最後まで茶目っ気たっぷりのステージだった。そして、イベントの最後を飾る、Andrewのラストの"Old Skool set"。「最後にもう一踊り!」と言わんばかりに、これまでで一番激しいDJプレイを展開!4つのセットを巧みに使い分けて、どのプレイでも最高のパフォーマンスを見せてくれたその確固たる実力を持って、最後にその否が応でもリズムに乗ってしまう程の激しいビートを繰り出されては、応えないわけにはいかない…というよりも明け方に贈られたこの至福の時に暫し疲れを忘れて踊り狂うと言った方が正しいのかもしれないが、名曲"Strings of Life"が夜明けと共に降り注がれた時は、誰しもがこの一夜限りのスペシャル・イベントを心から楽しんだと実感したに違いない。


Photo : Masanori Naruse

素晴らしい全てのライヴ/DJアクトが進む裏で、途中Karl本人が直接手を加えるなど、着々と完成へと近づいていっていたアートスペースの巨大なアート作品は、素晴らしい最終形となり、帰路へとつくオーディエンスの目を楽しませていた。最後までUnderworldによる壮大なトータル・アートの世界に魅了された一夜は、爽やかな朝日と共に幕を閉じるのであった。

レポート・文 / 稲野辺昌功

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