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黒光りするスパンコールのジャケットに、キラキラと輝く赤ラメ・パンツ、そして黒髪を黄金色に染め、ソロになって以来、見たことのないほど派手な出で立ち、そしてサタデー・ナイト・フィーバーばりのキメポーズで登場した瞬間、会場は悲鳴にも似た割れんばかりの大歓声に包まれた。そこには、これまで見せたどの姿とも異なる吉井和哉の姿があった。その情景は、まさに“ロックスターの帰還”と呼ぶにふさわしく、これから始まるショーが途轍もなく衝撃的なパフォーマンスとなることを確信させたのだ。
スタートから圧倒的な盛り上がりを見せたニュー・アルバム『39108』からの楽曲の数々は、まさにライヴ映えのするアッパー・チューンのオンパレード。「アゲアゲで行くぜー!!」というハイテンションの吉井と、オーディエンスとの掛け合いは会場を大熱狂の渦に巻きこみ、CDで聴く何十倍ものギラギラとしたロックンロールの臨場感を生み出していた。
そして、ステージからはYOSHII LOVINSON時代にはなかった艶やかなロックの香りが漂っていたのだ。それは、前列の女性の手に触れて口づけをしたり、腰をくねくねさせて踊りまくったり、男でも惚れてしまうであろうフェロモン全開の姿からも分かるとおり、誰もがTHE
YELLOW MONKEY時代の彼をそこに投影させていたかもしれない。しかし、それは明らかにその時代に戻ったという感覚ではなかった。時代を遡るようにYOSHII
LOVINSONの曲、そして、過去との折り合いに決着をつけるようにTHE YELLOW MONKEYの曲を演奏することで、これまで彼が歩んできた道のりを目の当たりにしたような感覚。それは、激動の30代を、悩み、苦しみ、もがきながらも駆け抜けてきた吉井和哉が、本来のキラキラとしたロックスターの姿を取り戻した瞬間だった。そして、何より『39108』というアルバムを完成させた吉井だからこそ表現できるパフォーマンスに、会場は狂喜乱舞の様子で最高の盛り上がりを見せた。
 
さらにはローリング・ストーンズやビートルズといった彼に影響を与えてきたロック・バンドのカヴァーも披露したのだが、見事なまでに吉井節が炸裂しており、完全に自分のものしていた。それでふと思い出したのは、彼がオフィシャル・サイトのコラムでローリング・ストーンズのライヴに行った時のことを綴っていたこと。今、吉井和哉は自分の琴線にふれるものはすべて受け入れ、そして、受け入れたものをすべて吸収し、吸収したものを一つの形にして吐き出すという、とてつもなくパワフルな精神力でこのツアーに臨んでいるのではないだろうか。それは後半で披露してくれた「BLACK
COCK'S HORSE」を聴いても感じたこと。公式ブログ“吉井和哉を追いかけて108Blog”にもあったようにプライマル・スクリームのライヴに影響を受けたのだろうか、彼らの最新作『Riot
City Blues』で展開されているようなロックンロール全開のアレンジで自らの曲を蘇らせたのだ。自分に良い影響を与えたものをすぐに取り入れ、試してみる。吉井和哉は今、そんなモードなのだろう。彼の現在(いま)を反映させたアレンジで生まれ変わった楽曲は、THE
YELLOW MONKEYでもなく、YOSHII LOVINSONでもなく、どこをとっても紛れもなく吉井和哉だったのだ。
アンコールも含め全23曲のバラエティに富んだセットリストは、一見バラバラに見えるかもしれない。しかし、「全部見終わった後に大きな1曲に感じてもらえるといいなと思います」という言葉があったように、すべての曲が吉井和哉というロックスターを構成してきた曲たちで、30代の最後を締めくくった楽曲「BELIEVE」がそのすべての曲を包括するように大きな輪郭を描いたのではないだろうか。“I
Believe In Me”――自分を信じる。そう叫ぶ彼の音楽は確実にオーディエンスの心に届き、互いの明日からの活力となったに違いない。今後、ツアーは中盤戦に入り、ファイナルの東京・日本武道館公演まで駆け抜ける。それぞれが、ぞれぞれの想いを胸に、今の吉井和哉が放つパワーを感じてもらいたい。
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